WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)が日本の保守派のような「なんでもアリ」の暴論を出して批判殺到の件を記録。
WSJ紙論説コラム
Thank God for the Atom Bomb – WSJ
一部引用。
「このコラムのタイトルは文化評論家で戦争回顧録の著者、故ポール・ファッセル氏が1981年に書いたエッセイから拝借した。」
「原爆投下70周年を迎えた今週、米国は原爆の被爆者に謝罪しなければならない、核兵器は廃絶されるべきである、広島は非人道的な残虐行為の記念碑だ、日本はもう少しましな形で敗戦を迎えられたはずだ、といったうわべだけの言葉が多く聞かれるだろう。しかし、ファッセル氏が指摘した基本的なポイントが広く理解されるかは疑問だ。広島と長崎への原爆投下は単に戦争を終わらせた恐ろしい出来事ではなかったということだ。多くの人々の命も救ったのである。原爆は大日本帝国を平和主義者の国に変えたのだ。」
「そうした状況下で2つの原爆が投下され、日本は敗れた。完全な敗戦である。軍事力に物を言わせて主張を通す傾向がある文化がなくなった現代の日本は、その完敗にも恩恵があったということを証明している。現代の広島は大惨事に直面した人間の回復力を証明している。確かなモラルや強い復讐への渇望でさえも寛大さへの障害にならないことを理解した米国の証でもある。そうしたことはある意味、寛大さの前提条件なのだ。
広島はあまりにも長きにわたり、ある種の左翼政治、暗黙の反米主義に塩漬けされた退屈な反戦主義と関連付けられてきた。これは残念なことだ。米軍が勝利という言葉を禁止し、米国の大統領が軍事力の行使を信じず、米国民が犯してもいない罪に罪悪感に苛まれている今日、われわれは広島の歴史から教訓を得るべきだろう。
広島の夜の明かりを見れば、その文化の穏やかさに気付くことだろう。原爆が投下されたことを神に感謝しよう。」
原爆感謝記事ツイートのリプ欄や引用などネットの反応
Atomic bomb was crime against humanity. Psychopath (原爆は人道に対する罪。サイコパス)
Creeps and scum like you….(あんたのようなキモいクズは…)
you are a real psychopath (あなたは真のサイコパス)
this article was translated to Japanese on the Hiroshima A-Bomb anniversary. How insensitive is he? (この記事は、広島の原爆記念日に日本語に翻訳された。この人は無神経すぎ。)
would you write the same if your family suffered (もしあなたの家族が原爆で被害を受けてたら同じこと書いた?)
In that regard, IS and KKK can also be said to engage in horrible yet life saving behavior. Ya fuck. (なら、ISもKKKも、おぞましいことやっても人命救ってるってことにして同じこと言えちゃうよね。おまえ、クソすぎ。)
using atomic bomb is war crime under any standard (どんな基準でも原爆使用は戦争犯罪)
Disgusting and distasteful. (クソすぎでゲスすぎ)
People like Brett Stephens absolutely sickens me. There is no justification for the killing of civilians. (ブレット・スティーブンスのような人たちはマジで吐き気がする。民間人の殺害は絶対に正当化できない。)
Disgusting WSJ op-ed. (クソすぎるWSJコラム)
Guy basically argues Japan should be thanking the U.S. for vaporizing 250k people (こいつ基本的に米国が25万人を蒸発させたことを日本は感謝すべきって主張してる)
This is one pathetic argument..(これはひとつのキモい主張ですね。)
こんなクソ記事をわざわざご丁寧に和訳して掲載するウォールストリートジャーナル…こんなんはアメリカの外に出すな。
一読して言葉にならんほどの怒りが湧き上がったけど、始めた以上は勝っても負けても正当化や合理化の屁理屈やゴタクが必要、それが戦争。この文章は戦争大国アメリカの愚の典型かと。日本、見習わぬよろし。
X (twitter.com)
アメリカの保守層に向けて書かれたもの。日本の「保守」が自国の支持層に向けて書いたものを、外国の人間が読んだらどのような気持ちになるか、ということを他山の石的に教えてくれる。
凄いなこの人。「日本が戦争やったから東南アジアの国々は独立できたんだからもっと感謝すべき」ってののアメリカ版かな。醜いね。
途中の引用とかが良いとこ引いてるのでごまかされそうに鳴ったけど、この人結局アメリカ人の犠牲を最小限に抑えて野蛮国を平和主義に変えてやったぜベイベーとしか言ってないのな。
実際コロネット作戦発動されてたら茨城県南部が沖縄みたいな惨状になってたことは間違いないわけで本土決戦が回避されたのは僥倖と言うほかないわけだが,しかしそれは原爆を正当化するかというとまた別であり。
はてなブックマーク – 【オピニオン】原爆投下を神に感謝 – WSJ
これは逆ギレ?
ただ、このコラムも、
原爆投下70周年を迎えた今週、米国は原爆の被爆者に謝罪しなければならない、核兵器は廃絶されるべきである、広島は非人道的な残虐行為の記念碑だ、日本はもう少しましな形で敗戦を迎えられたはずだ、といったうわべだけの言葉が多く聞かれるだろう。
と書いてて、こういう「多く聞かれるだろう」「うわげだけの言葉」のへの「反論」(逆ギレ)として書いてるわけで、アメリカでもだいぶまともな言説が広まっているのだろうな、とは思います。↓の記事でもあるように。
WSJ紙の他の原爆関連記事
Hiroshima: 70 Years After the Atomic Bomb – WSJ
アメリカの若い世代の原爆観
東京新聞:米世論調査 44歳以下は「原爆投下は誤り」多数:国際(TOKYO Web)
米国民を対象とした日本への原爆投下に関する世論調査で、四十四歳以下の年齢層で「誤った判断だった」と答えた人が「正しい判断」と回答した人より多いという結果が出た。四十五歳以上は「正しい」が圧倒的で、世代による意識の差が鮮明になった。
調査は原爆投下から七十年の今年七月十八~二十日、世論調査会社「ユーガブ」が千人を対象に実施。原爆開発や投下の是非について質問した。
「日本に原爆を投下した米政府の判断は正しいか、誤りか」との問いに、全体の46%が「正しい」と回答。「誤り」は29%、「わからない」が26%だった。
世代別では、十八~二十九歳は「誤り」が45%に上り、「正しい」の31%を上回った。三十~四十四歳でも「誤り」が36%で「正しい」の33%より多かった。
四十五~六十四歳は過半数の55%、六十五歳以上は三分の二に近い65%が「正しい」と回答。「誤り」は二割前後にとどまり、年齢層が上がるほど、「原爆投下は正しい判断だった」と考える人が多いという傾向が浮かんだ。
米国では終戦直後から「原爆の使用が戦争の終結を早めた」との認識が浸透。原爆投下直後の一九四五年八月にギャラップ社が行った調査では、原爆投下を支持する回答が85%で、不支持の10%を圧倒したが、支持派は九五年の調査では59%、二〇〇五年には57%と減少傾向が続いていた。また、今回の「ユーガブ」の調査で、原爆開発に対しては全体の62%が「悪いこと」と答えた。
お隣のニューヨーク・タイムズの原爆関連記事
2015年だけでこんなに。
こういう状況にイラついて逆ギレしたのがこのWSJ紙論説コラムなのではと。
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